「猫のまんま」春の段2

春の段 その2 wrote: 20170409

「縦列駐車」

じゅうれつちゅうしゃ【縦列駐車】      出典:Weblio辞書
一列に並んで駐車してあるほかの車両と車両の間にさらに車両を駐車する手法
<新解釈> じゅうれつちゅうしゃ【縦列駐車】松永解大辞典より  大きい猫・父ちゃん・小さい猫が同じソファーで縦一列に並んで昼寝すること。比較的大きい猫は顔に乗る場合が多く場合によっては肛門部と顔が密接することもあり注意を要することがあること。

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「ハアハア、父ちゃんしつこい。本当に」

「きいちゃんは大丈夫だった?ねえ」

「、、、、、」

「、、、、、?」

 

 

「きいちゃん?どうしたの?外に誰かいるの?」

「うん、最近 黒じい来なくなったなあと思って、、、」

「黒じいってあの後ろ足の悪いおじいちゃん猫?」

「先週まで遊びに来てたのになあ、野良のおじいちゃん猫だったからひょっとして具合でも悪いんじゃないかと思ってさ」

「心配だよね。僕ら暑い時も寒い時も父ちゃんエアコンつけてくれるから居心地がいいもんね。それにご飯だって美味しいの食べさせてくれるしね。」

「そうなんだ。前、父ちゃんが餌あげようとしたら黒じい『シャー』って怒るし、何度か外に餌を置いといたみたいなんだけど手つけてなかったしなあ」

「黒じいね、僕にこないだ言ってたけど『わしは人間からは施しは受けんぞ。野良猫のプライドにかけても餌は自分で捕まえて、自由気ままに生きていくから、人間に媚びることもしないし、好きなところに好きなだけ入られる。お前たちみたいに飼いなされてしまうと、もう独りでは生きていけなくなってくるぞ。』ってさ」

「確かにおいらたち、もし外に出てしまったら小さかった頃のように野良として生きていけないかもしれないなあ。アスファルトも夏は肉球が焼けるほど熱かったし、冬は冷たくて冷たくてちゃんと走れなかったもんなあ。餌だっておいらがいた小倉は繁華街だったから魚や人間たちの残した美味しそうな物見つけられたけど、この辺は畑ばかりだから虫しか見つけられないかもしれないなあ」

「僕、虫嫌い!だって苦いんだもの。雀さんたちはお友達だから捕まえたくないし」

 

 

「そい、もし父ちゃんがいなくなったらどうする?」

「えっ、美味しいカリカリご飯も貰えないってこと?」

「そうだよ。おいらたちどうやって生きていく?」

「そんなこと考えたことないよ僕」

「そい!でも生きてるものはいつか終わりを迎えることは決まってるんだ。大好きな父ちゃんだって、おいらたちだって、、、。いつかは必ず最期を迎える時が来るんだよ」

「嫌だ、嫌だ!僕はきいちゃんとずっと一緒!父ちゃんともずっと暮らして行きたい」

 

「おいら、最近思うんだ。父ちゃんよりほんの少しでもいいから先に最期を迎えたいってね。

大切な人を見送るよりも、おいらの最期を父ちゃんの腕の中で看取って欲しいって。最愛の人は見送りたくないんだ

「僕も父ちゃんや、きいちゃんに抱っこされて目を閉じたいなあ。父ちゃんもきいちゃんもとっても暖かいし、僕の大好きな匂いがするんだもん」

「な、、、、、そい?」

 

 

「あれ、きいちゃん!父ちゃんソファーで寝ちゃったよ」

「また、大きないびきかいてる」

スタタタ

「僕、父ちゃんの足のところ〜」

「きいちゃん、早く、早く〜」

スタタタ、、、

「きいちゃん、また父ちゃんの頭のとこ?」

「父ちゃんの髪の毛の匂いおいら好きなんだ。 へへっ」

「きいちゃんが重いんじゃないの?父ちゃん『う〜ん、う〜ん』って言ってるよ」

「大丈夫だよ、もう少し、もう少し、このまま」

「そうだよね、きいちゃん。もう少し、少しだけ、、、」

「ふあ〜。もう少し、もう少しだけ、、、、」

 

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・・・・続き

春の段3「初もの」はこちら ↓

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